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ショートステイセンター紡音 勤務

介護職員

村川 幸男 さん

ご高齢で介護の仕事を続けておられる理由やモチベーションの出どころを教えてください。

高卒後30余年マニュアルに従い、上司に従い仕事をしていました。介護の業界に入り、自分の判断によって、その方の生き方が大きく関わる事に自分なりに試行錯誤しながら頑張っていますが、まだまだ「これ!」と言うものを見つけないうちに現在に至っているといった感じです。いずれ来るだろう自分の要介護時代を考え、「情けは人のためならず」ではないですが、「自分がやってもらって嬉しいケアはどういうものか」を考えながら期待感を持って支援に当たっています。また、利用者さんとは一日一回は共に笑って過ごせる時間を作る事を実践しています。

介護の仕事をしてよかったと思う点、エピソードなどはありますか?

60歳を超えてから、この仕事に入りました。
就いて良かったと言うより、自分が変わったと思います。高齢者を見る時に、行動が遅い、判断が遅いと急かすこともありました。仕事を通して認知症などの症状を理解できたことは良かったと思います。
エピソードとして今も残るのは、デイサービス勤務の頃。ある女性の方で、あまり意思疎通もままならない方から、ある日「あんなー、うち、なしなるんでー」と言われ、聞き直しても、二度と語られなかったことがあります。後で分かりましたが、その日が最終利用日で2・3日後に守里会内の別施設に移ることになっていたそうです。「私はもうここには来ないんですよ」と伝えたかったのでしょう。私にだけ伝えてくれたことだった、と分かり、とても嬉しく思いました。この仕事をやって良かった点にも通じます。

介護、福祉に従事する若者たちへメッセージをお願いします。

高齢者はみなさん人生経験豊富です。そして人生について自信を持っています。それだけに頑固です(私も)。高齢になるにつれ認知症を患う方が増えます。そのことを踏まえ、利用者に関わる際は、先ず傾聴し、否定せず、遮らずペースに合わせることを念頭に関わって欲しいと思います。利用者さんは、私達と何ら変わらない人達です。ただ、少し多めに忘れる、表現や行動が少し苦手、言葉を正確に出せない、など様々な暮らしにくさがあることでしょう。けれど、その「〇〇にくさ」を埋めるのが私たちの役目なのではないでしょうか。何かに「子供を叱るな来た道だ、年寄りを叱るな行く道だ」とありました。まさにその通りでしょう。また、私は認知症の人と家族の会 香川県支部で認知症の人やそのご家族への支援も行っています。「自分らしさ」「結びつき」「携わる」「共にある」「くつろぎ」この5つの柱を元にパーソン・センタード・ケアをいつも意識しています。そんな支援が当たり前に実践できる社会であったらいいな、と思っています。